Drums Recording Guide

DRUMS
RECORDING TIPS

生ドラム録音の基礎知識

このページについて

iPhoneやスマホで録音してるバンドさん向けに、マイクを使った生ドラム録音の基礎を解説します。

マイク1本から始めて、徐々に本数を増やしていく構成を紹介。いきなりフル構成を揃える必要はありません。

大事なのは「今ある機材でベストを尽くす」こと!

マイク本数別の構成

予算と機材に合わせて段階的にステップアップ

オーディオインターフェースについて

マイクの本数分だけ入力チャンネルが必要です。2本なら2ch以上、8本なら8ch以上のオーディオインターフェースが必須。購入前に入力数を確認しましょう。

1本構成(モノラル)

必要な機材
  • マイク1本(ダイナミックマイク推奨)
  • 1ch以上のオーディオインターフェース

配置:ドラムセット正面、キックとスネアの間を狙う位置。ドラマーの頭上より少し低め(150cm程度)に設置。

1本でキット全体を拾う。バランスはマイク位置で調整。キックが弱ければ下に向け、シンバルがうるさければ上を向ける。

TIPS

SM57やSM58でもOK。「Glyn Johns法」の1本版。意外としっかりした音が録れる。

2本構成(ステレオOH)

必要な機材
  • オーバーヘッド用マイク × 2本
  • 2ch以上のオーディオインターフェース

配置:スネアを中心に左右対称のステレオ配置。スネアから等距離になるようにセット。

ドラムの音の7割はOHで決まると言われるほど重要。これだけでも十分使える音が録れる。

TIPS

「スネアから等距離」がポイント。メジャーで測ってセットすると位相が揃って芯のある音に。

3本構成(OH + キック)

必要な機材
  • オーバーヘッド用マイク × 2本
  • キック用マイク × 1本
  • 3ch以上のオーディオインターフェース

配置:OHは2本構成と同じ。キックマイクはフロントヘッドの穴から中に入れるか、穴の前に置く。

キックの低音をしっかり録れるようになり、一気にパワフルなサウンドに。ロック系ならこの構成で十分戦える。

×4 4本構成(OH + キック + スネア)

必要な機材
  • オーバーヘッド用マイク × 2本
  • キック用マイク × 1本
  • スネア用マイク × 1本
  • 4ch以上のオーディオインターフェース

配置:スネアマイクはリムから5cm程度、ヘッドに対して45度の角度で狙う。

スネアのアタックとボディを個別にコントロールできる。ミックスでの調整幅が大きく広がる。

コスパ最強構成

多くのエンジニアが「4本あれば十分いい音が録れる」と言う、最もバランスの良い構成。迷ったらまずこれを目指そう。

×7 7本構成(+ タム3本)

必要な機材
  • オーバーヘッド用マイク × 2本
  • キック用マイク × 1本
  • スネア用マイク × 1本
  • タム用マイク × 3本(ハイタム、ロータム、フロアタム)
  • 8ch以上のオーディオインターフェース

タムフィルをくっきり録りたい場合や、タムを多用する楽曲に。各タムの音量・音色を個別にコントロール可能。

×10 フル構成(プロ仕様)

必要な機材
  • オーバーヘッド × 2本
  • キック × 1本
  • スネア表 × 1本
  • スネア裏 × 1本
  • ハイタム × 1本
  • ロータム × 1本
  • フロアタム × 1本
  • ルーム × 1本
  • 10ch以上のオーディオインターフェース

スネアの裏でスナッピーの「ジャリ」感を、ルームマイクで部屋の響きを収録。最大限のコントロールが可能なプロ仕様。

注意

マイクが増えるほど位相問題が複雑になる。経験が浅いうちは少ない本数でしっかり録る方が良い結果になることも多い。

マイキング位置ガイド

各パーツの狙い方

パーツ マイク位置 距離 角度 ポイント
オーバーヘッド スネア中心の上空、左右対称 スネアから100〜150cm 真下向き or 斜め スネアから等距離に!
キック フロントヘッドの穴付近 or 中 穴から5〜15cm ビーターを狙う 中に入れるほどアタック強
スネア(表) リムの内側、ヘッド上 リムから3〜5cm 約45度 ハイハットの被りに注意
スネア(裏) スナッピー側、下から リムから3〜5cm 約45度 位相反転をお忘れなく
ハイタム リムの上、ヘッド中心を狙う リムから3〜5cm 約45度 シンバルの被りに注意
ロータム リムの上、ヘッド中心を狙う リムから3〜5cm 約45度 ハイタムと同様
フロアタム リムの上、ヘッド中心を狙う リムから5〜8cm 約45度 低音が多いので少し離す
ルーム ドラムから2〜3m離れた位置 200〜400cm キット全体を狙う 部屋の響きを収録

まずは耳で確認!

マイクをセットしたら、ヘッドホンでモニターしながら位置を微調整。数センチの違いで音が大きく変わる。数値は目安、最終的には自分の耳で判断しよう。

録音の重要ポイント

これだけは押さえておこう

位相(フェイズ)について

複数のマイクで同じ音源を録ると、マイクまでの距離の違いで音の波がズレる。これが「位相問題」。

位相がズレると音が薄くなったり、特定の帯域が消えたりする。

対策
  • OHはスネアから等距離に:メジャーで測る
  • スネア裏は位相反転:DAWで極性を反転させる
  • 3:1ルール:マイク間の距離は、音源までの距離の3倍以上

ゲイン設定

ドラムはダイナミックレンジが大きい楽器。普通に叩いてる時は余裕があっても、フィルインで一気にピークに達することも。

目安
  • ピーク時でも-6dB程度に収まるように
  • 絶対にクリップさせない(デジタルクリップは修復不可能)
  • 弱すぎても後でノイズが目立つので適度に

部屋の影響

マイクは部屋の音も録る。狭い部屋や響きの悪い部屋だと、どんなに良いマイクを使っても残念な結果に。

できること
  • 不要な残響は毛布やカーテンで軽減
  • マイクを近づけて部屋鳴りの比率を下げる
  • 逆に良い響きの部屋ならルームマイクを活かす

プロのTIP

録音前にチューニングとミュートをしっかり。いい演奏といいチューニングがあれば、機材が安くてもそれなりに録れる。逆にどんな高級機材でも、チューニングがダメならダメな音しか録れない。

まとめ

段階的にステップアップしよう

ステップアップの道筋
  • Step 1:まずは1〜2本で録ってみる
  • Step 2:キックマイクを追加して低音を強化
  • Step 3:スネアマイクを追加してアタックを調整
  • Step 4:必要に応じてタム、ルームを追加

最後に

機材が揃ってなくても、今あるもので最高の音を目指すことが大事。

iPhone1台でも、工夫次第で「それっぽい」音は録れる。マイク1本でも、プロが録れば良い音になる。

大切なのは試行錯誤して経験を積むこと。まずは録ってみよう!